■ 1年に2~3回は発生!? 駐車場の泡まみれ事件
みなさん、ニュースやSNSで**「駐車場が泡だらけになった!」**という話を見たことはありませんか?
実は、泡消火設備の“誤放出事故”は決して珍しくなく、年に2~3回はどこかで発生しています。
■ 事故のきっかけは「車の接触」がほとんど
この事故の原因のほとんどは、車が消火設備に接触してしまうこと。
例えば――
- バックで消火ノズルに軽く当たった
- 駐車中に配管をこすってしまった
たったこれだけで、**「泡消火剤が勢いよく噴出!」**という事態に。
しかも一度放出が始まると、タンク内の泡が全部出きるまで止まりません。
あっという間に駐車場が「雪景色」状態になります。
■ 泡放出後の対応は…とにかく大変!
泡消火設備が作動してしまうと、その後の対応が本当に大変です。
- 泡だらけの車両の洗浄や清掃
- 床の泡除去(滑って転倒事故の恐れも)
- 現場対応には、消防設備士だけでなく、消防隊や警察も出動して処理に追われます
- 原状回復や点検、消火剤の再充填費用…
実際、現場で対応する消防設備士としては「あちゃー…」と気の毒に思うこともしばしば(笑)。
また、泡の後始末に追われる消防隊や警察のみなさんには、頭が下がる思いです。
■ 泡消火剤の「環境・人体への影響」も要注意
実は、**泡消火設備に使われる一部の泡消火剤には、環境中で分解されにくく、人体に悪影響を及ぼす可能性がある有機フッ素化合物(PFOSやPFOA)**が含まれている場合があります。
- PFOSやPFOAは、かつて消火剤など幅広く利用されていましたが、2010年以降は製造や使用が原則禁止に。
- ただし、それ以前に製造された泡消火剤が、今も一部の施設で使用されているケースがあります。
- 環境省は、これら有害物質を含まない泡消火剤への交換を推奨しており、事業者や自治体では適切な管理・切り替えの取り組みが進められています。
誤放出が起こると、こうした有害物質が周囲の環境に影響を与える可能性もあるため、古い設備の管理・更新が非常に大切です。
■ まとめ:誰でも起こし得る事故だからこそ、知っておいてほしい
泡消火設備は「もしもの時」のための大事な設備ですが、
ちょっとした接触でも大騒動につながることがあります。
また、使われている泡消火剤の成分にも注意を払いましょう。
- 「この設備には絶対にぶつからない!」と意識する
- 駐車場の案内や表示をしっかり確認する
- 古い泡消火剤が使われていないか、管理会社や業者に相談する
これだけでも、泡だらけの“事件”や環境・健康被害を防ぐことができます。
万が一、泡の噴出事故が発生した場合は、
慌てず安全確保のうえ、専門業者や管理会社、そして消防や警察にもすぐ連絡しましょう。