消防設備点検が必要な建物は、特定防火対象物と非特定防火対象物の2つに分類されます。不特定多数の人が出入りする建物は、特定防火対象物・特定の人が出入りする建物は非特定防火対象物と言います。
特定防火対象物の用途例
・劇場・遊技場・カラオケ・料理店・百貨店・旅館・病院・地下街等
非特定防火対象物用途例
・共同住宅・学校・図書館・神社・倉庫・工場・事務所等
※図書館・神社・文化財なんて不特定多数の人が出入りするではないか?という方もおられると思います。正確に用途を分けるには令別表第一の細かい基準に従って判定する必要がございます。
ご紹介する印刷工場は、非特定防火対象物に分類され、消防署への点検報告期間は3年に1回です。お客様から3年に1回の点検で良いということ?とご質問を受ける時があります。しかし、消防署への報告が3年に1回ということで、消防設備点検は、年2回実施する義務があります。
印刷工場に設置されている設備は、自動火災報知設備、屋外消火栓設備、誘導灯設備(誘導標識)、防火設備、消火器です。今日は屋外消火栓設備の点検作業や使用方法について解説して参ります。
屋外消火栓設備の点検方法は外観点検と機能点検に大別出来ます。
外観点検内容
① ポンプ本体とモーター本体に水漏れ、亀裂等ないか確認。
② 呼水槽内及び消火水槽内充水の確認。
③ 各屋外消火栓内のバルブ類の確認。
水道用のポンプとは異なり、普段は動作していない為、非常時若しくは点検時などしかほとんど機能しない為、各所確認していきます。
屋外消火栓の機能点検
屋外消火栓制御盤内の絶縁測定を実施致します。
電源回路、電動機回路を測定し絶縁測定が良好な事を確認します。
500Vのメガーで測定し0.2Mオーム以上である事を確認致します。絶縁測定は総合点検時のみで良い事になっておりますがポンプを始動する際は毎回測定するのが望ましいです。
放水試験の実施です。
放水試験を実施際する前は、仕切り弁を閉止してからポンプを起動します。安全に放水試験するにはウォーターハンマーに配慮して配管内に水を充水させてから放水する事を推奨致します。
※ポンプを運転後徐々に仕切り弁を開けてポンプの圧力計を締切運転した値まで上がったら充水は完了します。
今回の放水試験は、屋外消火栓格納箱内にある遠隔起動スイッチにてポンプを起動させ起動後に仕切り弁を開けて放水試験を実施致しました。
放水試験の実施
屋外消火栓はすべての屋外消火栓(設置個数が2個を超える時は、2個の屋外消火栓とする。)を同時に使用した場合にそれぞれノズルの先端において、放水圧力が0.25MPa~0.6MPaかつ放水量が350L毎分以上の性能のものであることとなっております。
こちらの工場は屋外消火栓の設置個数が4個の為、2箇所で同時に放水し圧力の測定を実施致しました。写真ではわかりづらいですが、0.45MPaを測定致しました。
放水圧力異状ありません。
放水完了後は消火水槽の水が減水している為、消火水槽の水量を確認致します。
ボールタップが停止位置まで上がり、給水がしっかり止まる事を確認します。給水が止まるまではその場を離れないようにしましょう。給水装置の不良により水が落ち続ける場合が有ります。
その他の点検項目として消火栓設備には異常が発生した場合に警報を発します。こちらの物件はポンプ起動、呼水槽減水、過負荷を検出すると火災受信機及び消火栓制御盤にて警報を発して音響が鳴動します。(現場によっては警報は異なります。)
今回の消防設備点検はすべての設備異状なしでご報告出来ました。消防設備問わずどのような設備でも言える事ですが、時間が経つにつれて設備は劣化していくものです。
特に今回ご紹介させて頂きました消火栓本体はポンプ廻り、水槽はもちろんの事、屋外消火栓も外に設置されていますので雨風にうたれる事もある為、錆、腐食に繋がる可能性も非常に高いと言えます。消防用設備は非常時に備える物ですので非常時にいつでも使用できる様に我々消防設備士は日々点検業務に従事していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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