高齢者が生活する老人ホームでは、火災が発生した場合にすぐ避難できない入居者も多く、日頃の消防設備点検が命を守るための重要な対策となります。
しかし、「そもそも点検は義務なのか?」「どこまで対応すればいいのか?」といった疑問を持つ施設担当者も少なくありません。
この記事では、老人ホームにおける消防点検の法的義務・点検基準・注意点についてわかりやすく解説します。
消防点検は法律で定められた「義務」です
消防設備の点検は、消防法第17条1項により「設置した消防用設備等は、定期的に点検しなければならない」と明記されています。
つまり、消防設備を設置している以上、点検を行わないことは法令違反となり、改善命令や罰則の対象になる可能性もあるのです。
さらに、老人ホームは「防火対象物」として分類されており、その分類と規模によって報告義務の有無も変わってきます。
点検が必要な老人ホームの種類
老人ホームと一言でいっても、次のような形態があります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- 有料老人ホーム(住宅型・介護型)
- グループホーム
これらは、いずれも高齢者や要介護者など、避難が難しい人が多数入所している施設として扱われ、防火対策が強く求められます。
一定の規模や用途に該当すれば、点検だけでなく消防署への報告も義務となります。
点検の種類と頻度
消防設備点検には、以下の2種類があります。
点検内容 |
頻度 |
実施者 |
機器点検 | 6か月に1回以上 | 点検資格者 or 消防設備士 |
総合点検 | 1年に1回以上 | 点検資格者 or 消防設備士 |
点検後は、点検結果を所轄の消防署へ報告する義務があります。
多くの老人ホームは「特定防火対象物」に該当するため、年に1回の報告が必要です。
点検対象となる主な消防設備
施設の規模や構造により異なりますが、以下のような設備が点検対象になります。
- 自動火災報知設備(煙・熱感知器など)
- 誘導灯・誘導標識
- 消火器
- スプリンクラー設備(設置が義務となる施設も)
- 非常警報設備(ベルやブザーなど)
- 非常放送設備
- 火災通報装置(消防署へ自動通報)
これらはすべて、定期的な動作確認や機能点検が求められます。
特にスプリンクラーや誘導灯などは、故障や老朽化が気づきにくく、火災時に正常に作動しないリスクもあるため注意が必要です。
点検でよくあるミス・注意点
点検を行う上で、以下のようなミスや抜け漏れが現場でよく見られます。
- 点検結果を消防署に報告していない
- 点検を依頼したが、報告書の控えが施設にない
- 新しく設備を設置したが、消防署に届出をしていない
- 点検資格のない業者に依頼していた
- ナースコールや照明交換など、他の設備トラブルと混同して消防設備を見落とす
施設側にとって重要なのは、「点検を依頼するだけで終わりにしない」ことです。
しっかりと報告書の提出・保管までを確認し、消防署の査察にも対応できる体制を整えておくことが大切です。
老人ホームで選ばれる点検業者とは?
近年では、消防設備の点検だけでなく、施設のニーズに合わせて照明器具やナースコールの点検・交換にも対応する業者が増えています。
当社でも、消防設備士・第二種電気工事士の有資格者が在籍しており、消防点検に合わせて「照明が暗い」「ナースコールが反応しない」といったちょっとしたお困りごとにも対応可能です。
点検業者を選ぶ際は、次の3点をチェックしましょう
- 消防設備士など有資格者が点検を行っているか
- 報告書作成・提出まで一貫対応してくれるか
- 現場の小さなトラブルにも柔軟に対応してくれるか
まとめ|消防点検は施設運営の“必須業務”
老人ホームにおける消防点検は、法令で義務付けられた重要な業務です。
火災の被害を最小限にとどめ、入所者の命を守るためには、正しい設備の設置と定期的な点検・報告が欠かせません。
特に、高齢者が多数暮らす施設では、点検の遅れや報告漏れが重大事故につながる可能性もあります。
安全・安心な施設運営のために、信頼できる点検業者と連携して、定期的なチェック体制を整えていきましょう。
ご相談・お見積りは無料で承っております。
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