先日、こんな電話をいただきました。
「消防設備の点検を8月末にお願いしたいのですが…」
いつも通りヒアリングを進めていくと、今回の建物は「貴金属の買い取り専門店」とのこと。
感知器のようなものは付いているらしいのですが、それはどうやら警備用のセンサー。
消火器や誘導灯について尋ねると「何もありません」との答えでした。
「設備がないのに点検?」という疑問
私は内心こう思いました。
「貴金属を扱う店舗なら、誘導灯や消火器のひとつくらいあるだろう」と。
念のため店内の写真を送っていただくと…本当に何もありません。
「これはもしかして、設置義務がないのでは?」と疑問が浮かびました。
建物の延べ面積は約50㎡。隣には70㎡ほどのコインランドリーが併設されています。
用途的に「第4項:物品販売店舗」だろうと最初は考えました。もし4項なら、規模に関係なく誘導灯の設置義務が生じるため、消防設備が必要という判断になります。
しかし、買い取り専門店は販売を行わず「買い取るだけ」の事業場です。
つまり、第15項:前各項に該当しない事業場の可能性があり、この場合は設置義務がありません。
「4項か15項かで大きく変わる」ため、この点が今回の判断を迷わせた要因でした。
消防署に確認してみた結果
最終的に確認のため消防署へ伺いました。
すると担当の消防官から、
「この建物は第15項で使用開始届が提出されています。したがって設備の設置義務はなく、点検も不要です」
と明確な回答をいただきました。
実際に使用開始届も第15項で申請済みだったため、分類ははっきりしており、安心して判断できました。
危うく、設備が全くない建物に伺って“点検票の表紙だけ提出する”なんてことをするところでした(笑)。
今回の学び
ここで一番の学びになったのは、「買い取り専門店」の用途区分です。
私は当初、てっきり「第4項:物品販売店舗」に分類されるものだと思っていました。
もし、そうなら誘導灯の設置義務が生じ、点検も必要だったはずです。
しかし、実際には、買い取り専門店は「物品を販売しない」ため第15項に分類され、今回の規模では設置義務も点検義務もなしという結論でした。
特に今回は、使用開始届が15項で既に提出されていたことが、最終的な判断の決め手になりました。
まとめ
消防設備点検は、すべての建物に必要なわけではありません。
建物の用途・規模・設備の有無によって「点検が必要かどうか」は大きく変わります。
特に「買い取り専門店」のように、4項と誤解されやすいケースは注意が必要です。
実際には15項に分類され、点検不要ということもあります。
もし、同じように迷われている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
正しい区分を確認し、必要な対応をご案内いたします。