「イチローが野球をやる理由」というタイトルに惹かれて読み進めると、著者はかつてダイエーホークスで活躍し、現在ホークス監督を務める小久保裕紀さんでした。
小久保さんはプロ2年目で本塁打王を獲得しました。
しかしその成功に慢心してしまい、翌シーズンは思うような結果が出ず苦しんでいたそうです。
そんな頃、彗星のように現れたのがイチロー選手でした。
誰も追随できないほどの活躍を見せる姿を、小久保さんは目の当たりにします。
ある年のオールスターゲームの試合前。
二人で外野をランニングしている時、小久保さんはイチロー選手にこう尋ねました。
「モチベーションって下がらないの?」
するとイチロー選手は、逆にこう問い返したそうです。
「小久保さんは、数字を残すためだけに野球をやっているのですか?」
小久保さんは少し戸惑いながら、
「まあ、残さないとレギュラーを奪われるし…」
と答えました。
するとイチロー選手は、小久保さんの目を見てこう言ったそうです。
「僕は心の中に磨き上げたい石がある。
それを野球を通じて輝かせたい。」
この言葉に、小久保さんは雷に打たれたような衝撃を受けたといいます。
それまでの自分は、
成績を残すこと、得点を稼ぐこと、有名になることばかりを考えていた。
しかしその日を境に、
「野球の練習だけしていればいいわけではない。
人間として自分を高めなければいけない」
そう考えるようになったそうです。
そこで小久保さんが決めたのが、一人の時間の使い方を変えることでした。
空いている時間は読書に充てると決め、毎日実践したそうです。
野球を通して人間力を鍛えるというスイッチが入ったのは、あの時のイチロー選手の言葉があったから。
後年、小久保さんはこう語っています。
「あの時の言葉のおかげで、俺の野球人生がある。」
当時、イチロー選手はまだ22歳。
その志の高さには驚かされます。
しかし同時に、
その言葉に衝撃を受け、自分を高めようと素直に行動を変えた小久保選手の姿にも深く心を打たれました。
野球界を代表する二人から、
「仕事を通じて人間を磨く」という大切な姿勢を学ばせていただきました。
